大会長挨拶
第23回 福島県理学療法士会学術集会大会長 佐藤飛鳥
2020 年の COVID-19 感染拡大から5類感染症移行までに約 3 年が経過し、その期間に様々な社会情勢や生活様式が変化しました。当時の私たちの臨床場面では、面会や外出が制限され、関係各所と十分に情報共有が行えず、また COVID-19 の感染者に対してどのように理学療法を提供したらよいか等と、日々不安や葛藤があったと思います。更には、対面での活動、研修会や学会は制限され、人との交流も少なくなり、WEB 上でのコミュニケーションが主となりました。評価・臨床実習では、学内や WEB での実習等、今までと異なる環境下で実習を実施した養成校や各病院施設が多くありました。一方、ハイブリッドやオンデマンド等の WEB の環境は、普段育児等で外出や時間がとれない会員、遠方の会員にも有効的に活用できた反面、私たちは今の WEB 環境に慣れてしまった感覚があります。現在は、COVID-19 が 5 類感染症に移行し、社会経済活動の制限が解除された中、私たちは日々の感染拡大を注視しながら徐々に対面への活動に移行していますが、未だに COVID-19 感染拡大前のような環境や状態に戻っていないのが現状です。
このような中で、2022 年の全国の理学療法士数は 20 万人を超え、年々理学療法士の数は増加していますが、日本理学療法士協会の入会率は減少傾向です。雇用・就労形態の多様化、対面研修ができず学術活動の意欲低下によって研修会の参加率は減少し、理学療法士の質の担保・向上が課題となっています。また、少子高齢化、生産年齢人口減少に伴い、臨床で抱える課題が複雑化し、ニーズも多様化しています。個々の理学療法士が置かれている分野や領域だけで、課題を解決できることが少なくなっており、地域の理学療法士同士、多職種、関係各所、教育機関等、幅広く連携し、色々なネットワークを構築することが必要となります。今まで制限されてきた対面での交流によって、お互いにいつでも相談できる関係性を構築し、新たな価値を発見するとともに、理学療法士としてのやりがいをもって主体的に行動することで、理学療法士全体の知識・技術の水準を高めていくことに繋がります。
本学会では、各々の理学療法を見つめ直す機会にしてもらい、本学会参加によって何か 1 つでも自分に得られるものがあり、明日からの臨床での引出しが増え、参加して良かったと思える学会になっていただければ幸いです。また本学会を通じて、1 人でも多くの理学療法士や学生と繋がり、新たなネットワークを構築するきっかけとなり、今後更なる理学療法士同士や地域のネットワークが拡大していくことを期待します。
最後に、私たち理学療法士の質を高めていくことが、結果的に誰もが安心して生活できる地域社会の実現に繋がることを祈念しています。
本学会への多くの会員や学生の皆様のご参加を心よりお待ちしております。